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関心を持てる事柄について

同時通訳がいるときのプレゼンで気を付けること

前回の記事で書き忘れていたのだが、RSGT2019で行ったプレゼンでは日→英の同時通訳 (interpreter) の方に付いていただいた。

通訳付きのプレゼンをするのは自分にとって初めての経験であり、予想外だったことやうまくいかなかったことがあったのでメモしておく。

準備からプレゼンまでの流れ

おそらく通訳の方・会社・イベント・言語など様々な変数で変わるのだろうが、今回は以下の流れで行った。

  1. 事前に資料を提出する
  2. 事前に資料を見ながら打ち合わせをする
  3. プレゼンをする
  4. お礼を言う

1. 事前に資料を提出する

RSGT2019ではイベントの1~2週間前には資料を提出するように案内があった。

自分の観測範囲では「テック系のイベントでそんなに早く資料準備してるやつ、おるか…??」という雰囲気なのだが、通訳者の方に事前に資料を読んでもらう工程が挟まるので締切は無論守ったほうが良い。

また、提出後の資料の大幅な訂正は止めたほうが良い

今回ナルホドと思ったのだが、通訳者は資料を印刷して紙にメモを書き込んでいた*1。そのため提出後に修正していると直前の打ち合わせ(最悪の場合、本番)になって「あれ、手元の資料と投影資料が違う…!?」という問題が起きる。

自分も前日に訂正していたのだが、Google slidesを使っていたので打ち合わせのときにはお互い最新の状態を参照して話ができるだろうと高をくくっていた。が、ダメ…っ!「すみません、こちら修正してまして…」と頭を下げることになった。また、別の登壇者の資料はだいぶ激しく変わっていたようで、打ち合わせの際に資料を印刷し直したりしていた。

2. 事前に資料を見ながら打ち合わせをする

イベントの開始前または休憩時間を利用して通訳者との打ち合わせを行う*2。今回は20分の発表のために12分ほどの打ち合わせを行った。

まず最初に聞かれたのは「一番伝えたいことはなんですか?」という質問だった。なるほど、すごく良い質問ですね...!!

次が「話の構成・骨子を教えてください」というもの。今回の自分の発表はケーススタディだったので「1. 前提共有、2. 事例紹介、3. 得られた学び」という簡単なステップを説明した。「1のステップを5~6分で終わらせるつもりです」のように時間配分を伝えると「その情報があると大変助かります」と褒められた。今回に限って言うと、20分の発表の間に2名の通訳者が入れ替わりつつ進めるスタイルだったので、どこで区切るかが明確でよかったというのもある。

そのあとはスライドを一枚一枚めくりながら内容をあっさり説明していく。

専門用語や固有名詞がある場合は都度説明を行う。専門用語として使われる英単語が決まっている場合はそれを伝える。他にも"Kata (型)"のような日本語でそのまま輸出されているような概念はあえて訳さないでくれ、と伝える必要がある。

スライドに書いているけど触れないところ・スライドに書いていないけど話すことなども伝えていく。このへんはちゃんと練習して流れを作れていないと実りある打ち合わせにならないと思う。特にスライドに書いていないけど話すことを伝えることが通訳者にとっては大事だと仰っていた。今回の自分のスライドは文字が多めだったのだが「スライド上には絵だけ、口頭で補足する」のようなスタイルだともっと打ち合わせが大変になっていたかもしれない。

あとで調べて知った話なのだが、ジョークや笑いどころを伝えるのは文化の違いなどのために表現が難しいらしく、設ける場合は事前に伝えると良いらしい。自分のギャグを自分で説明するという大変恥ずかしい思いをしそうなのでこれは辛そう…。

余談だが、発表持ち時間とスライド枚数の相関はなんとなく通訳者の方々も感覚値として持っているようで、今回の20分でスライド70枚超えという自分の状況に対して「本当に20分で終わりますか?」というツッコミをもらった。

3. プレゼンをする

あとは打ち合わせ通りやるだけ、なのだが普段のプレゼンとは違って幾つか気をつける必要があった。打ち合わせで話した流れ・内容からなるべくはずれないようにする、ゆっくりしゃべる、一文を短くする、断定口調で言い切る等々。切りの良いところで休憩がてら水を飲んだりもした。

まぁ正直やっている最中は同時通訳のことを気にかけている余裕がほとんどなく、こんな感じ↓なのだが…。

通訳の方も「あまりに早口だと内容が"落ちる"ことはある」と仰っていたのでこれは実に良くないです。

ちなみに今回は質疑応答の時間は取れなかったのだが、もし英語で質問があればそれを日本語に同時通訳してもらうのだと思う。

4. お礼を言う

通訳の方を捕まえてお礼を言う。こちらにとっては休憩時間だとしても通訳者は次のプレゼンに備えていることもあるので邪魔しないよう気をつける。

気を付けることまとめ

一連の流れを踏まえて同時通訳がいるときのプレゼンで気を付けることをまとめる。一部は通訳がなくても当たり前のことだが、より重要性が増すものとして記述する。

事前準備

  • 資料は早めに「完成」させ、期限通りに提出する
    • 「完成」とは資料を書き上げるだけでなく発声練習を通じて表現や構成が磨き込まれた状態
  • 資料は文字多めのほうが通訳者としては安心かも
    • スライドとは別にスピーカーノートを用意して共有するのであれば文字少なめでも大丈夫だと思う
  • 提出後は資料を修正しない
    • ほんの少し(言い回しを変えるぐらい)ならまだ大丈夫だがページが増減するレベルだとやばい
  • 最も伝えたいこと、話の構成をすぐに説明できるようにしておく
  • 時間配分(アジェンダのn番目でm分ぐらい経過している想定)を決めておく
  • プレゼン内で触れる専門用語や概念の英語表現を調べておく
  • ジョークを挟むなら事前に相談する

個人的にはイベントの1週間以上前に複数回の練習を終えて練度を高めた状態の資料を提出するのが一番むずかしいな…

プレゼン

主に話し方

  • 打ち合わせで話した流れ・内容からなるべくはずれないようにする
  • ゆっくり喋る
  • 一文を短くする
  • 断定口調で言い切る
  • 主語を明言する
  • 可能なら良い感じに休憩を挟む
  • 終わったらお礼を言う

そしてこの記事を書きつつ今更ながら自分の発表がどのように英訳されたのかがすごく気になってきたので、「通訳内容を誰かに頼んで録音しておいてもらう」というのも次の機会があればやってみたい。


同時通訳付きでいつもと違うプレッシャーはあったものの勉強になってよかった、今となっては同時通訳無しはイージーモードなはずだ!!

*1:もちろん人によってスタイルは違うかもしれない

*2:行わないケースもあるかもしれない