YAPC::Hakodate 2024に参加してきたので感想です。人生初の函館が良かったので観光成分も多め。
YAPCについて
前回のYAPC::Hiroshimaに続いて今回が2回目のYAPC参加です。YAPC::Hiroshimaではプロポーザルが通ったのですが今回は通らずでした。
出したプロポーザルはこちら 3Dセキュア温故知新: Web認証技術の発展が切り拓いた現在地 by ohbarye | トーク | YAPC::Hakodate 2024 #yapcjapan - fortee.jp。同僚の id:yutadayo がクレカ製造技術ネタでめちゃめちゃ強いのを出して大バズしていたので会社としては問題ない...が、個人としては悔しい!
心に残った発表たちの個人的総括
ブース担当したり廊下で人と話したりでセッションは半分ぐらいしか聞けなかったのですが、その中でも個人的に"つながり"を感じたテーマ「個人技と工芸と工学」について雑多に感想を残してみます。
まず、朝イチの深町先生による『シェルとPerlの使い分け、 そういった思考の道具は、どこから来て、どこへゆくのか?』。コンピュータ開発史の話が純粋に面白かった!
歴史哲学付近を専攻していた身としてはE.H.カーを引用されて大興奮。歴史とは事実の羅列ではなく、誰が、どんな信念の持ち主が語るのかによる過去との対話なので、深町先生のような方が何に着目して語るのか、という点がたいへん興味深く、身を乗り出して聞いていました。
コンピュータが廉価になり誰でもプログラミングに取り組めるようになり、個人の熟達や狂気が世界に影響を与えられるようになったという熱い歴史観。現代ではプログラミングは実用寄りなアート、陶芸のようなものと仰ってたのが興味深く、講演後にも少しお話しさせてもらった。
ソフトウェア開発には工芸(アート)的・職人芸的な側面はあるのは事実だし、キーノートの@moznionさんの"個人技"はまさにそのことを指摘し、研鑽のためのマインドやアプローチを自己体験を通じて語るものでありました。自分ももっと量を重ねなければ...と引き締まります。
@osyoyuさんによる『プロファイラ開発者と見る「推測するな、計測せよ」』, @chobishibaさんの『自分だけの世界を創るクリエイティブコーディング』などもまた、個人の興味や嗜好を掘り下げ、自身を磨き上げたところから生まれるものでした(2人とも同僚で、RubyKaigiやそれ以前から一貫して1つのテーマに専念してとにかく手を動かし続けており、とても尊敬しています)。
僕は短期的なゴール設定に対して全力を出すタイプの、いわば短距離走を繰り返しがちな性質があるのでそういう一点集中スタイルに憧れますね。
それはそれとして、プログラミングやソフトウェア開発においてあまりにもアートや職人芸の側面を強調しすぎる、(今回は誰もそんなふうには言ってないですが)"アート面しかないように扱う"ことには自分は否定的でいて、工学(エンジニアリング)の側面と併せ見ることが重要だと考えています。
工学と聞くと鈍重なプロセス、平均的な人々をうまく働かせる方法、といった「製造工学を無理にあてはめようとするイメージ」を持たれることもあります。しかし、設計工学、とりわけソフトウェア工学はもっと個を引き上げるためにあるものだと思います。
真のソフトウェア工学は、私たちの創造力と、高品質で役立つものを自信を持って作る能力を引き上げます。アイデアを掘り下げ、創造力を伸ばせるようになり、大規模で複雑なシステムを構築できるようになります。
『継続的デリバリーのソフトウェア工学 もっと早く、もっと良いソフトウェアを作るための秘訣』より
ベストスピーカーを受賞した@osyoyuさんの発表はプロファイラ開発という個人技の極地みたいな出発点でありながら、万人に還元できる学びや一般解を展開されており、工芸と工学のミクソロジーとして素晴らしいものでした。発表の巧みさ、テーマがリーチする広さといった表象も重要なポイントではありますが、特に個人的に刺さったのはその点です。
ソフトウェア工学とは、ソフトウェアの現実的な問題に対する効率的、経済的な解を見つけるための経験的、科学的なアプローチの応用のことである。
同書より
これ。
プロセスの第1は当て推量です!当て推量が実験と一致しなければ、それ(当て推量)は間違っているということです
同書より。これはファインマン先生の引用
実験を通じて学びを反復し、前進的な改善を測るものが工学。経験主義的でもあり、量が質に転化するという@moznionさんの話とも繋がるのではないでしょうか。
長々書きましたが、@moznionさんが言っていた「個人技の向上の再現」には教育も重要であるが、同様に工学の理解と活用も大事、という見解です。
歴戦のプログラマが「年々若者が優秀になっている」とつぶやくのを何度も聞きます。ここには教育側の進歩だけでなく業界全体としてのソフトウェア工学の進歩があり、先達が経験や学びが広まっていることの証左ではと。
懇親会や廊下でもこのテーマについて何名かと議論させてもらいました。お付き合いいただいた皆さん、ありがとうございました。最近の関心について深掘りするきっかけをもらい、とても刺激的なイベントでした。スピーカーではなく、いち参加者として臨めるカンファレンスだと、こういう思索が落ち着いてできて良いですね。
観光
あとは観光ログです。
街並み
函館の元町やベイエリア、街並みがめちゃくちゃ良い。
グルメ
イベントでの食事が中心だったのだが、写真があまりない
ラッキーピエロはYAPCのお弁当としていただいた。おいしいしボリュームもすごかった
やきとり弁当は米なしの串だけ食べたが、米のためにある"味"だった
メルカリの新サービス?
メルカリの新サービス2?
メロン
まぐろの頭肉!!!!まぐろで一番好きな部位だし、一番好きな寿司ネタの可能性ある
こっちはオオカミウオ。見た目はマジで怖いのだけど刺身はふわふわの白身。肉に例えるならホルモン系?
とうもろこしの天ぷら。甘すぎてすごい
港近くの街角クレープ。クレープの写真がないのだけど、過去一番おいしいクレープだったかも
近くにあったSpecialty Coffee COCOROで淹れてもらったホンジュラスのコーヒーと一緒に食べられて最高だった
イカが不漁とのことでまったく食べる機会がなかったのが残念
歴史的建造物
いい...
動物
港で力強く餌をねだるやつ
放し飼いの猫
放し飼いの猫2
躍動する生命...
時間が足りなくて訪問できなかった場所、堪能できなかったグルメがあるのでまた行きたい