高校の友人の結婚式二次会余興のためにゲームを作った。
結婚式への参加が初めてで余興ってそもそもどういう趣向でやればよいのかもわからなかったが、素人の一夜漬けの歌や踊りは危険だと私のゴーストが囁いていた。
内容が決まるまで
南浦和で3時間ぐらい初回の打ち合わせをやって内容をほぼ決めた。
なぜゲームを作ることになったか
まず「盛り上がる/盛り上がらないを問わず、新郎が喜ぶものってなんだろう?」の問いからスタートした。 そこで集まった部活メンバー内で「友人は高校の頃、ずっとゲームしてた気がするな〜」との声が出たのでゲームを作ろうかという話に。
ゲームジャンルの決め方
その時点で結構みんなテンションが上がっていて「マリオみたいな横スクロールがよいね!」とか「モンハン好きだったはずだから狩り(隠語)させようぜ!」とか「エ□ゲ風ノベルゲーでしょ!」とかいろんな意見が出た。後述するが、良くも悪くもゲームエンジニアは一人もいなかったので実現性を度外視して色々言い合った。ブレスト大事。
結局、以下の理由からノベルパート5分+アクションパート5分ぐらいでまとまるゲームを作ることになった。
- 余興の持ち時間10分弱でできるやつ
- その中でも緩急をつけたい
- なおかつ観客も実況プレイを見ているように楽しめる
ストーリー / 設定の決め方
クリアしてもらわないと困るので、「アクションも難解でなく単純な横スクロールがよいね」→「ただ走るだけが許されるようなストーリーって何?」と考えたところ、こんなストーリーになった。
結婚式の朝に記憶を失った新郎が精神世界をさまよい、記憶を取り戻しながら式場で待つ新婦のもとに向かう
わりとシンプルで誰にでもわかる設定とコンテキストというのも採用ポイントにした。
開発について
今回の余興に参加するのは6人。
アプリエンジニアは自分だけで、あとは税理士(?)、機械系エンジニア、NWエンジニア、狂った研修医だった。ゲームエンジニアはいない。本当にゲームが作れるのかってみんな思っていたと思う。
タスク分担
このチームで以下のタスクをてきとうに分担した。
- シナリオ、台本担当
- 素材集め(音声や写真;ゲーム内に新郎や知人を登場させる)
- ノベルパート開発
- アクションパート開発
- テスター
使用ソフトウェア / ツール
Unity 5
個人的にちょっと使ったことがあったのと、サンプルが充実していて大きくつまづくことは無さそうと思い選択。Unreal Engine とか他のIDEはぜんぜん触ったことなく、ハマったらこわいので今回は候補に上がらなかった。
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git でバージョン管理した。自分以外はあまりなじみが無かったようで、0から git 覚えてもらうのはコスト高いと思い、他人からは編集ファイルを渡してもらってマージするという古典的手法をとったが、後半のインテグレーションで失速感が出てしまってやや失敗だったと思う。
Unity Web Player でプレイできるようにビルドしたファイルを push し、github-io で動作確認するサイクルを細かく回せたのはよかった。企画段階でみんなは完成品のイメージをつかみかねていたようだったが、開始から1週間程度でプロトタイプを作ってからはそこが共有できてよかった。
できたもの
個人情報含むので全体は公開できないけどスクリーンショットはこんな感じ。
旧ドラクエ風OP。
ノベルパート。ただ読むだけでもつまらないので選択肢を用意して新郎に選んでもらうようにした。
アクションパート。思い出の写真に囲まれながら徐々に記憶を思い出していく新郎。
書いたコードは全部で400行ぐらい。
盛り上げるために
ゲームができた時点でほぼ満足しかけていた。けど、たとえゲームが最高に面白かったとしても黙々とプレイしてもらうだけだと盛り下がるだろうな〜と思いなおし、エンターテインしてみた。
「当ゲームはフルボイスでお送りします」と銘打って、制作チームでセリフや地の文を読み上げた
無音の時間がなくなるし、読み方で笑いを起こしたりできた。
新郎・新婦のセリフは当人たちに読んでもらった
主役は2人なので、やはり読んでもらうたびに盛り上がった。制作チームが感情込めて読むのに2人が棒読みだとなお面白い。
実況・解説を取り入れた
プレイ内容を新郎+観客に説明して迷わないように誘導しつつ、突っ込みを入れたりするファシリテーター。これは自分がやった。事前に古舘の実況を見て語彙を増やしたりした。アルコールも入ってたので何を言ったかあんまり覚えていないけど平成の怪物とか筋肉の二世帯住宅って言った気がする。
ゲームオーバーをなくした
クリアしてハッピーエンドにしたかったのでゲームオーバーをなくした。選択肢で間違えたりステージ外へ落下したら直前からやり直しにしたり、タイマーの時間はただの飾りにしたりした(最初はタイムアウトしたらリスポーンさせてた)。
内輪ネタは排除した
企画段階で内輪ネタを話すのは面白かったけど、極力排除することにした。ゴール地点を結婚式場にするなど、互いに知らない人が集まっている場で、共有できるコンテキストを強調した。おかげでグルーヴが生まれたと思う。
本番直前はゲーム作成よりもこういった工夫に心血注いだ。
本番
実況解説にわりと必死だったのであまり客観的に見られてなかったのだけど、新郎いわく、大変盛り上がっていたとのこと。
ゲームが実際に動くのを見た観客から「おぉ〜」という声があがったのが聞こえたのは嬉しかった。こいつら"本当-マジ-"にゲーム作ってきやがったという驚きで10分弱ゴリ押しできたので改めてインパクトは大事だと思った。
じゃあ完璧だったかというとそういうわけでもない。操作ミスで必要なセリフが飛んでしまったり、思ったよりも操作性が悪く何度もステージ外に落ちたりした。クリティカルではなかったけどもう少しうまくやれるところもあったと思う。
あと全然関係ないけど、本番前には"MAD MAX 〜怒りのデスロード〜"の話をして盛り上げ用のテンションを作ったりしたのもよかった。
感想
総じてけっこう面白いことができたと思うし、個人的にも開発を楽しめた。
二次会で酒を飲みながら余興ゲーム制作メーカーとして生きていけるかみたいな話をした。 「純粋な開発全体で計40時間ぐらいかかっていたと思うので利益乗せたら10万ぐらいで受注しないと」 「次回もモジュール使いまわすとして作業15時間で終わるだろ、3〜5万にしよう」 「そもそも需要あるか」 「いっそ素人向け制作ツール作ってライセンス販売した方がよいのでは」 等々のたまってた。個人的にはゲームエンジニアとして生きていくつもりは今のところ無く、他の友人たちも無いと思う。
お世辞にもクオリティ高いとは言えないが、ゲーム開発未経験者6人でここまでできたのはUnityのおかげだと思う。よいものを創るのは難しくても、ゲーム制作を始めるハードルは低くなっていると実感した。また、ノベルパートを作った税理士はプログラム経験なく英語読めないとか言ってたのに自力でUnityプラグインとか使いだして無事完成まで漕ぎ着けてたのでセンスあると思う。
最後だけども、久々に高校の友人と集まって共同作業できたのが何より楽しくてよかった。なので機会をくれた友人には感謝、そしておめでとう。