2020年7月~9月あたりで買ってよかった漫画。 元々集めていて続刊が出ただけのやつは除いて、新しく見知った漫画に限定。
葬送のフリーレン
最終回の「数年後─────」みたいなやつに弱いんですよ。
物語としてのクライマックスを超えて"精神の浄化-カタルシス-"を得たあと─────"その後"の世界が描かれることで読者の脳内によりくっきりとキャラクターや世界観が生き生きと印象付けられること、あると思います。
で、葬送のフリーレンなんですが全部"後日譚-それ-"っていう。
突然後日譚を語られても知らんがなって感じなんですが、主人公(ということになっている)フリーレンの視点で現在とオーバーラップされる過去の「思い出」の差し込み方や描き方がとても巧み。
過去の謎を解き明かしつつ現在を語るタイプのストーリーテリングといえば"The Haunting of Hill House"も良かったな〜。
それで「思い出」といえばジョジョの奇妙な冒険第6部 ストーンオーシャンなんだよな…
生きるという事はきっと「思い出」を作る事なのだ・・・ F・Fはそう悟っていた─────
フリーレンは現在の旅を通じて過去の冒険をちゃんと"思い出"にしていく…それ、"生きる"ってことじゃん…
大ダーク
林田球先生はドロヘドロだけじゃなく魔剣Xから追っています(マウント)がストーリーテリングさらに上手くなっているな〜と(尊敬)。
「けっこう行き当たりばったりで作品を描いていく」みたいな話をどこかで先生がされていたと思うのですが、それにしては、謎と解決、新キャラクターの登場、世界観の提示…これらファクターの繋げ方が天才的。
ドロヘドロ同様にグチャッとしたシーンはかなり多いですが『ぼのぼの』なみにほのぼのしているという奇妙な作風も相変わらずで好きです。
斬り介とジョニー四百九十九人斬り
ショートギャグ漫画の専門と思っていた榎本俊二先生の異色の殺陣マンガです。チェンソーマン経由で知りました。そういえばチェンソーマンも"例"のオマージュシーン「クァンシと魔人達四十九人斬り」が出てくる7巻に続いて8巻が発売されましたね。
ストーリーはほぼないようなもので、チャンバラ表現にただただ興奮するための漫画です。
さんかく窓の外側は夜
このマンガがすごい2020で選出された『異国日記』のほうが有名な印象ありますが、個人的には『さんかく窓』推し。
良い作品というのは得てしてジャンルを越境するものですが『さんかく窓』に関して言えばホラー、ミステリ、サスペンス、超能力、BLあたりが綯い交ぜになっているような感じですかね。まぁ正直読んでいるとジャンルなんかどうでも良くなってくるんですが。
『青野くんに触れたいから死にたい』あたり好きな人はハマりそうな気がする。
しかしながら『異国日記』といい『さんかく窓』といいこれだけ面白い漫画をよく並行して連載できるな〜。
アンデッドアンラック
やり尽くされていそうな能力バトルや"不死"の設定でも"ここ"まで持っていけるか〜〜〜
キャラクターの登場や展開が早く"引き込み力"がめっちゃ高いところと、各キャラクターの能力が明かされる大ゴマで超太字が入るところがめっちゃ好きですね。読まないと何言ってるかわからないと思うけど…。
新人の作品なんですね、苛烈なジャンプ連載戦争でなんとか生き残ってほしい。
度胸星
最近だと『望郷太郎』や『へうげもの』ですかね、山田芳裕先生といえば。
『度胸星』のラストは悲しみの打ち切りという話を聞いていてなかなか手を出せずにいたのですが、読んでみるとなかなかどうして、めっちゃ良い…。
SF要素よりかはヒューマンドラマや友情・努力・勝利の成分が多いのでSFというくくりで敬遠する人がいたらもったいないと思う。
いつか続刊が出てくれないかな〜。
水は海に向かって流れる
『子供はわかってあげない』の田島列島先生の新作。このマンガがすごい2020で選出されていたので知っている方も多そう。
つい最近3巻で完結しました。
前作に続いてふつうっぽい人たちがふつうからちょっと外れた人間関係や悩みに向き合っていく話、といえばそれまでなんですが、"向き合うこと"を描くのが本当に上手い。
現実世界において人と向き合うということは物語のようにスッキリと終わることばかりではないし、そもそも人はかんたんに行動には起こせない。そういう前提があってこその細かい描写が良い。
女の園の星
説明すると面白くなくなるタイプの漫画です。