2019年1月も終わっていますが2018年に読んで心が動いた漫画の一覧を紹介します。対象は以下。
- 2018年に買った・読んだ漫画
- 2018年より前から読んでいて続刊を買った・読んだもの
- 2018年以前に完結しているが初めて読んだもの
おすすめ順に並べるとかカテゴリ順に並べるとか考えたのですが終わらなさそうなのでやめました。コメント量が多いものがおすすめです(たぶん)。
また、一記事に収まらなかったのでとりあえず20作品だけ。
喧嘩稼業
なんと2018年は喧嘩稼業のコミックスが2冊(10巻・11巻)発売されました。休載の代名詞として冨樫先生が挙げられますが休載期間の長さや不規則性でいえば圧倒的に木多先生が勝っているという状況で奇跡的。(今はヤングマガジンで月に1回載っているかどうかぐらいの頻度)
格闘漫画で面白いものなにかって聞かれたら今なら喧嘩稼業一択かなぁ。 僕はバトルものは勝つときの納得感がいちばん大事だと考えていて、「突然覚醒!大逆転!勝利!」みたいな展開に醒めるタイプなので理詰め・理屈でちゃんと勝利を描ける漫画が好き。で、喧嘩稼業は完全にそれ。
また、脇役・噛ませ犬にしか見えなかったキャラクターがちょっと信じられないぐらい活躍するとか、そういう熱い展開も良い。
休載しながらでも良いのでちゃんと完結してほしい
ゴールデンカムイ
ヤングジャンプで追うぐらいにはちゃんと読んでいるが話の着地点が見えなくなってきた。超長編化しないかどうかという不安と、予想を裏切る展開への期待が半々。
でも本誌ではこれまでずっと登場してきた主要キャラの死が描かれそうな雰囲気が出ていて今後どうなるのか気になっている。
アニメではそんなにグッとこなかった。
あまり話題にされないけど前作の『スピナマラダ!』も良いし、見方によってはこっちの方が好き。若干打ち切りぽいが6巻でシュッと完結していてかなりおすすめ。
ワールドトリガー
不倒城でたびたび言及されているのを見て最近読んだらかなり良かった。
絵柄的にジャンプぽいというか、わりとあっさりしていて良くも悪くも印象に残らない感じだと最初は思って敬遠してしまったのですがすみません、絵うまいです。 ごちゃごちゃした戦闘シーンがかなり多いんですが「何が起きているんだかわからない…」みたいな場面がぜんぜんない。
絵だけで見せるわけじゃなく戦闘の行動一つ一つの意図がけっこう丁寧に説明されているのもうまくて、下手すれば外野キャラの解説が邪魔な感じになるものの、ワールドトリガー作中ではこの解説がバトルの説明なだけでなくキャラクター同士の関係性の表現にもなっている。 戦っているもの同士や仲間同士とか、解説しているキャラとされているキャラ同士の関係とか。
不倒城の記事で一番良かったのはここ。
http://mubou.seesaa.net/article/454425324.html
このワールドトリガーを読んで、もう一つ凄いなーと思ったのが、この漫画「足を引っ張る味方」とか「立ち位置を下げる為に、敢えて無能描写されてるキャラ」というのが、本当に殆どいないんですね。
わかる…!そういう"駒"っぽいキャラが入ってくるととつぜん覚めてしまう。海外ドラマ見ててイライラするのはそういうところ。見習って欲しい。
亜人
亜人も長ーくスルーしてしまってきたんだけど2018年に初めて読んだらびっくりするぐらい良かった。
読まなかった理由はなんだろう、表紙がどの巻も同じに見えたからとかかな…。( 「亜人 表紙」で画像検索と、わかる)
いやー、これもまた理知的なバトルと展開が素晴らしい。そして絵がめちゃくちゃうまい。
世界観というか設定はそんなに複雑じゃない(「亜人は死なない」とか「スタンド能力みたいなのがある」ぐらい)ものの、その制約の中でこれだけスリリングなバトルやテロができるというのに感嘆。そして敵の佐藤が魅力的。
漫画雑誌「good!アフタヌーン」は亜人きっかけで読み始まるようになった。
アニメは数話見てけっこう良いなと思ったけど原作に追いつくまで長そうだな〜と思って見るのをやめてしまった。
嘘喰い
嘘喰いの完結は2018年の漫画界の一大ニュースですわ…
数えきれないぐらいキャラクターも大量に出てくるが個性の描き分けがすごい。
複雑な知能戦のギャンブルがメインかと思ったら異常に熱いバトル漫画にもなるし、その両方が毎度舞台装置によって緊密に結びついているという設定に痺れる。 賢いだけではダメで暴力も持っていないと勝てない、というところにある種の公正さを感じる。
特に後半のストーリーテリングも画力も次元が違うので読んだことない人はぜひ読んで欲しい。(最初の数巻は導入という感じなので一気に10巻20巻と読んで欲しい)
バトゥーキ
1巻では盛り上げすぎず、丁寧な筆致の導入という印象。昨今の青年誌で連載開始する漫画にありがちなこととして「初めの数話で山場を持ってきすぎる」というのがあると思っている(しかもエログロに頼りがち)。 そんな中で大御所とか実績のある漫画家がこういう入りをすると尻上がりに面白くなるのではないかとめちゃめちゃ期待してしまう。
カポエイラがメインストーリーに絡んでくる漫画というのも個人的にはポイント。 格闘技にまったく詳しくないのだが、見た目の異質さがずば抜けてないですか?以下の動画に出てくるカポエイリスタめっちゃかっこよくないですか?
どうでもよいがwikipediaによるとクレヨンしんちゃんのアクション仮面もカポエイラを使うらしい。
ザ・ファブル
ザ・ファブル!これは面白い––––––––だが伝わるやつが少ない–––––––––
この類の劇画タッチなハードボイルドな漫画は––––––––
説明しすぎない–––––––––!
そこにこそ良さがある––––––––
現代の漫画の読み手は––––––––説明されることに慣れすぎている––––––––
語られないことへの不安!それがこの漫画をサスペンスとしても成立させる––––––––
時折はさまれるギャグも同じや––––––––説明しないからこそおもしろい––––––––
岡田准一主演で映画化するらしい。
その女、ジルバ
rebuild.fm ep.221 で知って読んでみた。レディースコミックぽい雰囲気であまり合わないかなぁと思ったけどなかなか骨太で良かった。
血の轍
別冊少年マガジン「ハピネス」とビッグコミックスペリオール「血の轍」の同時連載すごい。
個人的には押見修造氏には恋愛やルサンチマンものを書くよりもホラーテイストなものをがっつりやってほしいな〜という勝手な期待がある。 それもファンタジーな方向ではなく、日常とか田舎とか家族とか、リアリズムなやつ。惡の華の巻末かどこかで語っていたけど地方出身ということで(?)そういう閉塞感を描くのがうまいと思う。
ということで彼の作品ではこれが一番好みかもしれない。
響 〜小説家になる方法〜
スカッとジャパン的なノリで読んでいる。
この作品とは関係ないのだが、著者は創刊30周年記念特別新人賞スペリオール次世代マンガ大賞の選考員を務めている。スペリオール本誌で読んだ彼のコメントがNot for meな感じで、響にもあまり入り込めなくなってしまった…。
十二人の死にたい子どもたち
ネット上のホームページに導かれて、廃病院に集まった十二人の少年少女。初対面の彼らの目的は全員で「安楽死」をすること。だが、決行するための地下室にはすでに一人の少年が横たわっていた。彼は、自殺か、他殺か、そもそも誰なのか。少年少女たちは不測の事態に際し、この集いの原則「全員一致」に従い話し合いを始める──!
原作は作家の冲方丁なだけあってダイアログと心理描写が完全に良い感じのミステリ。
最近完結したので一気読みおすすめ。
タイトルは「十二人の怒れる男」)」のオマージュなのでついでに言及すると、2007年にロシアでリメイクされたやつが好き。
青野くんに触りたいから死にたい
めちゃ面白いんですが、これはなんなんですかね。ホラー・ロマンス・エロ・グロ・コメディ・青春・家族、ジャンルはなんでも良いけど描きたいことをぐちゃぐちゃに混ぜて煮詰めたらすごく面白くなったような闇鍋とかインドのマサラムービーとかそんな感じの怪異。 本当に面白い漫画はジャンルをまたぐ。
崖際のワルツ
再び椎名うみ先生で、こっちは「青野くんに触りたいから死にたい」より前のデビュー作などを含めた短編集。 このときからブレてない。
セトウツミ
なんかのサービスで無料で1巻読んだら思ったよりハマったので最後まで読んだら驚きましたよね。 ダイアログがひたすら進行するだけのギャグ漫画かと思ったら唐突にシリアス展開で泣ける話に持っていく上に伏線が貼ってあったのすごすぎる。
毎話毎話がきれいに短編ぽく占めているので此元和津也氏の漫画力を感じる。
そういえば此元和津也、インターネット上でぜんぜん情報が出てこないことで有名らしい…。
テリトリー
僕は常々短編が上手い漫画家は本物だと言っているんですが、この短編集の表題「テリトリー」を読むと此元和津也が本物だとわかります。すごく良い。
ホーリーランド
昔ちらっと読んで「作者による解説」が合わないかなぁと思ったが再読したら良かった。
作者の経験を通じて語るこそ満足して描けている、という点で同作者の『自殺島』や『創世のタイガ』にも通底した作風がある。
「ボクが…"街"....!?」みたいな「なに言ってるんだこいつ」的なDOPEな狂気を感じるシーンや、角度によってかわいかったりかわいいのかわからなくなるヒロインなどがツボ。
テセウスの船
殺人犯の父親を持つ主人公が過去に戻り殺人事件を防ぐ、という「僕だけがいない街」を思い起こさせるプロットだが、二番煎じではない。
寒村における不気味さをハードボイルドに描くと同時に家族ドラマとしてもとても優れている作品。
衛府の七忍
山口貴由先生がエンターテインメントを突き詰めようとして振り切っている最高の作品。
今回の『衛府の七忍』は、正直「ウケよう」と思ってやってますから(笑)
これで実際にウケているのですごいけど、"ポップ"とはそういうことではない気がする。
覚悟のススメ
こちらを読んでから『衛府の七忍』を読むと「ああ〜これがやりたかったことか〜」という気持ちになる。
マイホームヒーロー
前作の『でぶせん』がNot for meだったのでおそるおそる読み始めたがこれは良ミステリ。