この半年間はソフトウェアエンジニアとしてのアウトプットに積極的になるよう意識的に行動してみたので振り返ってみます。長くなってしまったので3行でまとめるとこんな感じです。
- 成長と刺激を求めて OSS contribution や登壇やイベント運営を頑張ってみた
- 成長したかはわからないが、知り合いが増えたりして刺激を受けることが多くなった
- これからも続けていくが持続可能なペースにしたい
この半年間、登壇とかイベント運営とかに積極的になるよう"試験運用-セルフコントロール-"してきたのでそろそろ振り返ってまとめたい
— 広島の粗大ゴミ (@ohbarye) 2018年9月27日
だいたい2018年上半期の話ですが一部期間外の話もあります。
なぜアウトプットを増やすか
唐突ですが、現職では日常の業務を漫然と続けるだけで成長するフェーズは終わったのかなぁと思っています。新しく何ができるか、何をすべきか、もしくはしなくてよいのか。昨年、転職から2年が経過したときにそんなことをぼんやり考えていました。そのときに書いた記事 (now = ohbarye.hired_at.since 2.years) から意識が高まっている箇所をセルフ引用します。
ドメイン知識以外のところでもっと勝負したいとかいう気持ちがある。
Be the worst の精神を忘れたくない、技術系のコミュニティから刺激を受けたいという思いもある。直近では勉強会やカンファレンスでの登壇や週1~2での副業を積極的にやってみるというのも卑近な方法だろうか。
また、乃木坂太郎氏の『医龍』という漫画が好きなのですが、話中の天才医師浅田の言葉にも刺激を受けました*1。
“腕ってやつは、上がってると感じてなきゃダメなんだよ。維持してると思ってんなら、落ち始めてるってことだ。”
上述のお気持ちだと抽象的すぎるので、達成したかったことをもう少し言語化すると以下の2点に集約されます。
成長する
"成長"の定義は「僕が理想とするソフトウェアエンジニア像と現在の自分とギャップが埋まること」。*2
刺激を得る
無限不断努力をできるタイプではないので自分の""やる気スイッチ""を押せる手段が欲しい。*3
やったこと
上述の「成長する」「刺激を得る」が"目的"で、以下は"手段"です。
1. OSS contributionを増やす
実は最近あまりやれていないのですが GitHub を見る限り2018年内だと50本ぐらい pull requests を出したようです。
また、その過程で貢献できるOSSを探せるツール (goofi)を自作したり、このツールに関する発表が出来てよかったです。
しかしこの点についてはまだまだです。継続的に特定のプロダクトに関わっているわけでもなく、小さな修正を重ねても「contribution できたぁ〜」と「だからなんだ…?」の間を意識が行き交っています。もちろんコードを読んだり書いたりする機会が増えているのはポジティブなのですが、contribution を通じてでなくても良いのかもと思ったり。もちろん、contribution するに越したことはないのですが。
2. GitHubのプロフィールを充実させた
「自分や他人が良い/欲しいと思うツールやライブラリを作って公開しているエンジニア」に憧れがあります。なので GitHub のプロフィールを見て「やっていき手かな?」と思う兆候の1つに star が集まっているレポジトリが並んでいること、というのがあります(ohbarye基準*4)。
さて自分のがどうかというと、1年ぐらい前は kpt-bot が10 stars 集めるぐらいだったのがややマシになりました。
ohbarye (Masato Ohba) · GitHub
充実させるためには手を動かして何かを作らなければいけないので、とても小さい課題でも解決するツールを書けないか考えたりするようになりました。まぁ、たいてい既存の組み合わせでなんとかなってしまうのですが… それでも作ったものについてまとめたり紹介してフィードバックを貰えるととても刺激になります。
3. 登壇を増やした
プレゼンに関するメモをちまちま更新し、自分のプレゼンは改善されていると自己暗示をかけていかないと不安を抑えられないぐらいには人前で話すのが苦手です。
心の中で「やるぞ!!」と強く決意しても、すこし放っておくだけですぐにやる気が""無""になってしまうのを知っています。
なので会社の GitHub issues で「登壇やっていき表明」というイシューを立ててお気持ちを表明し、2018年度上半期の目標にも設定しました。ohbarye は退路を自ら断ったのだ…。
あとは強い人たちが言っている(と勝手に思っている)「勉強会の類は登壇するときぐらいしか行かない」の真似。プレゼン枠があるのにそれを避けて一般参加枠で申し込むのを止めました。
成果としては上半期で10本ぐらい登壇経験を積むことができました。「LTばかりだ」とか「やっている人はもっとやっている」とか、そういうセルフ突っ込みが止むことはないですが、2017年末までは一度もやったことがなかったのに比べるとだいぶ前進したと思ってはいます。
Presentations by Masato Ohba - Speaker Deck
得意領域ではない frontend を伸ばすために勉強した JavaScript 周りを JS コミュニティで発表したり、1回もiOS開発やったことないのに iOSDC に登壇したり、だいぶコンフォートゾーンを出たつもりです。
4. イベントを主催した
Quipper Product Meetup
7月に Quipper Product Meetup というイベントを開催し、この運営を担当しました。
StudySapuri Product Meetup を開催しました #sapurimeetup - Quipper Product Team Blog
会社とプロダクトのブランドやバリューによる成果ですが、定員120名に対して事前申し込みが400件超えしていた人気イベントを仕切るというのはなかなかのプレッシャーでした。
エンジニアコミュニティで知り合った方なども来訪してくれて「お、こういう風に人が繋がっていくのは楽しいかもしれない」と感じられたのが後続の Engineering Manager Meetup などにも繋がったと思います。
Engineering Manager Meetup
つい先日、Engineering Manager Meetup というイベントを主催しました。動機や感想は以下の記事にまとめています。
Engineering Manager Meetup をやります - valid,invalid
Engineering Manager Meetup #1 をやりました #em_meetup - valid,invalid
テーマがテーマだけに上述したような「ソフトウェアエンジニアの成長や刺激という狙いから少しずれるかも」と企画した当初は思っていたのですが、それは間違いでした。
僕が尊敬する、インターネットで見知っていたようなエンジニアやエンジニアリングマネージャ・CTO・VPofE、影響を受けた本の著者といった、普段生活をしているだけでは絶対に会えないような人たちと出会い、意見を交換したりすることができるようになりました。
刺激が欲しいとは言っていたものの刺激が強すぎて"熱"が出てきました。
Meguro.rb
イベントで何回かトークをさせてもらったり懇親した流れで、第19回Meguro.rbのスポンサーを Quipper がやることになりました。
僕が何もしなくてもそうなったかもしれないけど、アウトプットを出すことを通じてこういうチャンスが流れてきたこと、そこに関われたことを嬉しく思います。
5. コミュニティづくり(継続中)
Engineering Manager Meetup の Slack workspace の中でオフ会が生まれたり、色んな方が意見を交換できるようになってきました。
Engineering ManagerのSlackが半端なしに有益な意見が出ていて、素晴らしくよい。最高。マネージャー職ではなく、開発者でも、こういう横のつながりうまいこと作りたい。
— 徳用カルパス (@yoshi_hirano) 2018年9月28日
コミュニティやイベント運営について遥かに知見あるカルパスさんからこのようなコメントを貰えて嬉しいです。
僕が参加したイベントの中でも、カルパスさんが主催する Rails Developer Meetup は本当に素晴らしいのでこれからも背中を追っていきたいと思っています*5。
その他の細かいアウトプット
Dev.toに記事を書く
仕事で書く機会が減り気味だったので英語の練習がてら書いていました。
dev.to には #showdev
という「作ってみた」的な tag があり、これで自作のツールやWebサイトを紹介したり。このブログや Qiita に書くよりも like (いいね) や star が集まりやすいな、という感覚があります。純粋にリーチする数の問題とも違い、英語圏はポジティブフィードバックに前向きな気がする (暴論)
ISUCONに出た
出て惨敗しました
ISUCON8にチーム"sayotan"で参加し、予選落ち (Best Score: 23,553, 最終結果: fail) でした - valid,invalid
Open Processing
ゴールデンウィークの頃は P5.js にハマっていたので Open Processing に登録してお絵かきしたりしていた
アウトプットを続けてわかったこと/変わったこと
「勉強会の類は登壇するときぐらいしか行かない」の意味
以下の事柄に価値があるとはもう何万回も言われていることだと思うのですが言葉でなく心で理解しました。
- 発表するために調べたり手を動かす
- ポジティブ/ネガティブフィードバックをもらう
- 同じ関心を持つ人が見つかる
- そうしたエンジニア同士で質問したり議論したりできる
上記の体験を得るにはやるしかないんだよなぁ…。
『「全て」を敢えて差し出した者が、最後には真の「全て」を得る』…*6
ぼっちじゃなくなってきた
konifar さんが アウトプット増やしたらぼっちじゃなくなってきた - Konifar's WIP で書いていることとまんま同じです。3年以上遅れて背中を追っている感覚です。
昔は勉強会やミートアップに参加しても「まぁ、アルコールも飲まないし、懇親会はいいや…」という気持ちでスキップしていました。出るにしても知り合いがいないのでぼっちになるか、たまたま近くにいた人と雑談して終わるだけであまり楽しくなかった。自分の引き出しの少なさや未熟な話術のせいといえばそれまでですが…。
その頃に比べるとだいぶ楽になりました。登壇することで話しかけてもらえるようになり、また、自分のことを知ってもらった状態で会話がスタートするので最初の方の自己紹介プロトコルを省略できたり(できなかったり)。
コミュニティ/イベント運営が好きかもしれない
たまたま携わったイベントが上手くいったからのぼせ上がっているだけなのかもですが、コミュニティ/イベント運営のこと、好き…かもしれない…です。
やる前は「めちゃくちゃ面倒くさそう」で「やっている人に感謝しなきゃ」ぐらいの気持ちだったのですがいざやってみるとやっている側の楽しみもあることに気づきました。
コミュニティやイベントを提供する人の元にこそ人や知見や繋がりが集まってくるのは、勉強会の類で登壇した人が多くを得るのと似ているなぁ、と。
プレゼンはやっぱり苦手
はい。引き続き自分にあったやり方を模索していきます。
これから
折れない心、または自己修復力
筆が乗っているうちに良い話ばかり書いてしまったのですがアウトプットを通じたつらいこともありました。
資料準備などで追い込まれてストレスになったり、可処分時間がなくなったり、プレゼンで話した内容の理解があいまいで質問にうまく答えられなかったり、滑ったり、主催したイベントを無断キャンセルされたり*7、絶対流行ると思ったアイデアが見向きもされなかったり。
そういう時は結構オチて何もしたくなくなるのですが「半年間はやる」と決めて退路を断ったのでなんとか発破をかけながらやれました。タイトルにある「自分を騙しながら」というのはそういうことです。
自身の力でコントロールできることであれば「ある種の後悔は取り戻すことができる」という気持ちでやっていくしかない。コントロールできないものは割り切る。
もしくは、成功体験・良かったときのことをイメージしたり、同じコミュニティで繋がった人を見て受ける刺激で再起したりする。
そういうメンタリティを持った高レジリエンス人材になりたいです。
ペースダウン
上半期はアウトプットするマイルストーンを置きつつ締切駆動×不安駆動でがむしゃらにやったのでちょっと疲れました。
短期的には走りながら考える体力が身に付いたというメリットもありますが、少しペースダウンして長期的に持続可能なスタイルを模索したいです。*8
引き続き、エモいポエムはほどほどに、サステイナブルで高レジリエンスにやっていきます。射撃しつつ前進。
*1:「漫画に影響された」と書くと途端に信憑性が落ちる類のものごとがあるのは理解していますが、それはそうと『医龍』は本当に面白いので未読の方は是非読んでみてください。
*2:「理想とは何」という話は長くなるので省略します
*3:無論、成長意欲を高く保てて頑張れる人もいるが…少なくとも自分は違う
*4:他にも尖っている言語を書いていたりとか、すごそうなorganizationに入っているとか、いろいろ
*5:その他にも、iOSDC, builderscon あたりの big events はやはり運営の努力と技術が凄いと感じています
*7:まぁ、よくあることなんですが、主催側で体験するとまた違ったショック
*8:と言いつつこのブログと並行して CfP を書いている