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関心を持てる事柄について

『僕がアップルで学んだこと 環境を整えれば人が変わる、組織が変わる』

一時はその存続が危ぶまれたアップルという会社が、回復に向けてどのような環境を構築し、人材を集め、優れた製品やサービスを生み出すに至ったのか。本書はその一部始終を経験した著者が語る指南書。スティーブ・ジョブズが用いた手法とそこから著者が学んだノウハウには、これからの社会を生きていくうえでのヒントが数多く含まれている。 (Amazon より引用)

ハイライトした箇所


このころのアップルというのは、完全に「船頭のいない船」と化していました。会社の方針を知っている人など誰もおらず、めいめいが好き勝手なプロジェクトを作って実行していました。もしかしたら何らかの方針が存在したのかもしれませんが、私は聞いた覚えがありません。次から次へとさまざまなプロジェクトが脈絡なく起きては消えていきました。

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アメリオは、まだ計画中のものも含む350ものプロジェクトを50にまで減らしました(

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この製品の表は非常に分かりやすかったため、どんなミッション・ステートメント(会社の根本原則や方針を明文化したもの)よりも社員の力をひとつの方向にフォーカスさせることに役立ちました。新しいモデルが発表になるごとに売り上げが倍増し、会社が勢いを取り戻すのを肌で感じられました。

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アップルをアップルたらしめている最も強力な仕組み、それは「シンプル志向」です。無駄が多い組織、必要以上に複雑な組織というのは、まるでメタボリック・シンドロームに悩む中年男性のようなものです。この「シンプル志向」には会社の「脂肪分」に当たる無駄を取り除き、会社のビジョンを明確にし、多くの従業員を結束させる働きがあります。

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ます。普通アップルほどの規模の企業になれば、国内だけでも数十もの関連企業があるものです。例えばアップルがずっと目標にしてきたソニーは、日本国内だけでも関連企業40以上を有しています(注23)。ところがアップルは米国内には本社のほかにもう1社しか持っていません(注24)。また参入事業もソニーは20以上もあり、それもコンピューターや電子機器のほかに映画や音楽制作から損害保険、生命保険、そして銀行業と多岐にわたります(注25)。対するアップルは、コンピューター事業、コンシューマー電子機器事業、ソフトウエア販売、ダウンロード販売事業、それからクラウド事業と、たった5つの事業にしか参入していません。この5つの事業も非常に密接に関連し合っており、ソニーの電子機器事業と生命保険事業のようにまるっきり別のことをしているわけではありません。また製品のモデル数を数えても、2012年1月9日の時点でアップルは世界中でも12しかない(注26)のに対して、ソニーは日本国内だけで120ほどもあります(注27)。  このようにアップル

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組織というのはある程度の規模を超えると、どうしてもそれ自体が意思を持ってしまうようなところがありますから、複雑な組織を作るとてんでバラバラの方向を向いてしまう傾向が強くなります。また組織の階層が増えると責任の範囲が曖昧になりがちですし、意思決定や情報が流れるスピードが遅くなります。こうした事態を防ぐためにも組織の構造がシンプルであることは非常に重要です。

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やること」と「やらないこと」を決めるのは、自分たちの得意な分野と不得意な分野を正しく理解し、得意な分野に特化するということです。またこれは、他社との差別化をどうやって図るのかを決めることにほかなりません。

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まずいちばん最初に明快な製品のコンセプトを定義し、その定義に沿ってデザインを練っていきます。もしも製品のコンセプトやデザインが誤ったものであったなら、その後でどんなに開発や製造、品質保証部門が頑張ってもよい製品が出荷されることはありません。

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優れたコンセプトやデザインが立ち上がったら、その形を劣化させずに製品化させることが大切です。製造部門や開発部門が「これはできない」「あれはできない」と言って最初のコンセプトやデザインを劣化させたり、営業部門などが「あの機能もこの機能も足してくれ」と言って最初のコンセプトを破壊したりしないように細心の注意を払う必要があります。

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優れた製品やサービスは、どれも極めて分かりやすいコンセプトの上に築かれています。そのコンセプトが売る側の願望ではなく、顧客側のメリットを簡潔に言い表したものでないと売れる製品は作れません。また「他社が作っているから我が社も作ろう」などというのは製品コンセプトとは呼べませんし、そのようなやり方ではモデルにした製品を超えることも、有効な差別化を図ることもできません。すると競争力のある製品は生まれませんから、価格競争の消耗戦に突入するしかなくなってしまいます。

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製品のコンセプトは「世界一クールなパソコン」と、明快なことは明快でした。しかし「クールなパソコン」では顧客のメリットを何も説明していません。開発中、私は部下や同僚たちと「これが発売になったら買おう!」とずっと言っていたのに、予定価格を知った途端に気持ちが萎えてしまったのをよく覚えています。

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2007年3月に発売されたアップルTV(注30)は、「家庭のリビングルームに入り込む」ことが目的とされました。しかし顧客にどんなメリットを提供してリビングに入り込むのか、といういちばん大切な部分についてコンセンサスがないままに開発が始まったのです。

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これから何が流行るか」を考えるのではなく、自社が顧客に対してどんなメリットを提供できるかを考え、そこから製品やサービスのコンセプトを定義していくのが大事な点です。

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た。  1つ目の問題点は、どうしても最初に作った計画に縛られがちなことです。変化が激しい時代ですから開発途中に市場の動向が変わったり、あるいは途中でより優れた実装方法などが考案され、計画の変更をした方が理にかなう状況が発生したりします。しかし最初に計画ありきの「登山感覚」の開発はこうした変化に柔軟に対応しづらいのです。また最初に設定した現実的ではないゴールにとらわれて、やめるにやめられず開発コストがズルズルと上がっていき、見直すタイミングを失ってしまうこともあります。

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2つ目の問題点は、なまじチェックポイントが決まっているが故に、開発状況を頻繁にチェックしようという意識が薄れてしまうことです。そしてチェックポイントが来たときに初めて問題に気付き、バタバタと慌てるハメになります。その結果スケジュールが延びてしまったり、品質が妥協されたままズルズルと出荷に至ってしまったりということが起こりがちです。そして一度そういう前例ができてしまうと「どうせスケジュールが延びるだろう」「この程度の品質でいいだろう」と誰もが高をくくるようになり、ますます品質が低下していきます。

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アップルは「団体責任」のような責任の問い方をせず、個人個人の社員に責任を帰しています。この個人個人の責任を追及するやり方が、それぞれの社員の力を発揮させるうえで非常に重要な役割を果たしています。

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創造性を豊かにするには自由をたくさん与えて伸び伸びさせることが大切である、というような「神話」があります。しかし私の経験では自由を与えるとむしろ創造性が下がります。創造性を引き出すのに必要なのは自由ではなく、むしろ適切な制約です。

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社会的手抜き(注46)」(social loafing)という現象をご存じでしょうか? 社会的手抜きとは、集団で共同作業をすると、人数の増加に伴い一人ひとりが徐々に手抜きをするという現象です。

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集団をうまく作用させると、一人で働くときよりもアウトプットを高めることもできるのです。これは「社会的促進(注48)」(social facilitation)と呼ばれ、他者の存在によって、個人の作業が肯定的な影響を受ける現象です。例えば観客がたくさんいる方が実力を発揮できるスポーツ選手や歌手、あるいは一人で走るよりも数人で一緒に走った方が速く走れる、なども社会的促進の一例です。

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実際どんな人を雇うのでしょうか? ひと言で言えば即戦力になる人を雇います。「そんな人いるもんか!」と思う人もいるでしょう。しかしシリコンバレーには雇ったその日から役立つ人が実際にゴロゴロいます。シリコンバレーの会社ではどこも仕事の進め方は似たり寄ったりですし、どの人も開発なら開発、マーケティングならマーケティングとずっと同じ畑で自分のキャリアを育ててきた人が大半なので、新しい会社で右も左も分からない、などということはあまり起きないのです。転職5回などというのはごく普通ですので、採用される側も慣れたものです。

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私が採用時に気を付けていたことにはさまざまな点がありますが、特に重要視していたのは技術力が高い人を採る、社会性に欠ける人は採用しない──の2点です。どんなに技術力が高くてもあまりに社会性に欠ける人ではやはり仕事になりませんし、逆にどんな人当たりのいい人でも、技術力がないと仕事にならないからです。

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面接は自分や部下5人程度で行っていました。5人がバラバラに面接し、あとで全員の意見を聞いて採用を決めました。自分が面接に必要な専門知識が足りない場合には、他部署から信頼できるエンジニアを借りてきて面接を手伝ってもらうこともあります。5人ぐらいで面接して話を聞いてみると、候補者の話していることの矛盾を洗い出すことができます。

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米国流の人事評価方法に興味がある方は、模範的な評価の書き方などもネットにたくさんありますので、ネットで「Performance Appraisal examples」などと入力して検索してみてください。

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日本は日本語の壁や人材流動性の低さにより職が守られており、一度就職すると基本的にはなかなか転職することもありませんが、私は遠からぬ将来、日本もシリコンバレーもあまり変わらなくなるのではないかと思っています。

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人間はちょっとだけ難しいことにチャレンジしているときがいちばんやる気が出る(

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