6年近く前の話だが「Quipperに入社して業務をこなすにはどの程度の英語力が必要か?」という問に対し、こんな回答を貰ったのを覚えている。
技術的な課題を解くためにググってStackOverflowが出てきたときになんとか読める程度の英語力、ないしは読もうとする気概や胆力があれば大丈夫
後に自分が採用担当になった折りには同じ質問を受ける立場となり、リーディングに関してはおおむね同じ回答をしてきた。(リスニング・スピーキングは年やチームによって状況が著しく異なったので一概にこう、とは説明できなかった)
振り返れば「StackOverflowを読める程度の英語力」というのは英語運用能力の多寡というより、問題解決能力を示す良いベンチマークだなと思えた。
なお、StackOverflowはたまたま例として挙げただけなので「〇〇の公式ドキュメントを読める」など各分野における任意の主要な情報ソース源をあてはめてもらってよい。 *1
"英語で検索ができる"ということ
悪名高い自動翻訳サイトによってちょっと状況は変わってしまったが…そもそも英語で検索をしないとStackOverflowが検索結果上位に出にくい。なので「StackOverflow読むぐらいの英語力ならあります」という場合、きちんと英語で検索するスキルがまずある。*2
"英語で検索ができる"ということの背景には、日本語と英語で得られる情報量の差への意識があるといえる。英語の情報のほうが圧倒的に多く、一次情報の大部分が英語で記述されていることは今でこそ当然に思えているが、初学者や非専門家と接するとこれは自明ではなく獲得された知識であることを知覚できる。
「"領域-スタック-"..."突破-オーバーフロー-"...?」みたいに見たことも聞いたこともない感じだとちょっと不安になる。
英文読解力より問題解決能力
英語読解が苦手でも自分の検索ワードにマッチしててStackOverflowでupvoteが数十付いてたら「なんか答えに近いことがあるかも」と勘付き、翻訳サービスにとりあえず放り込んでみようと思い、放り込んだが意味がわからない箇所は単語を辞書で引きつつ原文を精読して訳を作ってみる。
「そもそも自分の検索ワードが間違っていた」「より適切な英語表現があることに気づく」なんてこともあり、そのたびに検索しなおす。
この辺はわからないことを1つずつ明らかにしていくプロセスであり、Google TranslateやDeepLなど現代のツールで得られるサポートを前提とすれば、求められるのは英語読解力よりも問題解決能力に近いと思う。
初手が日本語検索でもいいけど*3、「どうにも得たい情報が得られない」とか「埒が明かないので一次情報にあたる必要がある」と自分の現在地を把握し、ゴールに向けて軌道修正できるのはメタ認知スキル。
そんなわけで「StackOverflowを読める程度の英語力があればよい」というのはそれなりの問題解決能力を備えているかどうかのベンチマークとして優秀だなと改めて思った話。
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This article is for ohbarye Advent Calendar 2020.