"Simple is not easy" という記事を読んで感銘を受けたので、ついでに英語の勉強と思って抄訳してみる。
Simple is not easy
「Simple」は「Easy」のことではありません。驚くほど多くの人がこの2つを同義語だと混同していますが違います。実際にこれらが反意語になるケースがあります。
「Easy」は単に簡単だということに過ぎません。言い換えれば「Easy」は結果を生み出すための努力が最小限ですむということです。 「Easy」は重荷、努力、投資、約束のいずれも意味しません。多くの人々が望むものです。労力に不釣り合いな高級が得られる仕事。大した投資もせずに得られる愛情。達成が重要でないうえに、成長することでさえもさして重要でないような人生。
一方「Simple」は非常に難しいです。「Simple」とは重要なことを除いてすべてを取り去ることで、ダビデ像が現れるまで大理石を掘り続けるようなものだからです。「Simple」はミニマリズム、すなわち複雑さを取り除いて物事をコアエッセンスにまで減らすことでもあります。初めは取り除くべき余計なものがすぐに見つかるので簡単に思えるかもしれません。しかし掘り進めれば進むほど難しくなります。必要なものを取り除かないようにするスキルと熟練が必要になってくるからです。
まだあいまいですか?「Easy」はデジタルカメラを手に入れ、さっと開封し、無作為に写真を撮ることです。 スキルや投資は必要ありません。本当に簡単です!「Simple」は、あなたが真に伝えたい本質が一点の曇りなく輝くように写真を撮る方法を学ぶことです。
この時点であなたは「「Easy」は怠け者の価値観だから自分の人生と自分の辞書から無くしてしまおう」と思っているかもしれませんが、だとしたらあなたは恐ろしい間違いをするでしょう。「Easy」は勢いを生み出すものです。「Easy」によって早期に得られる低リスクの成功体験は継続へとつながるでしょう。お客さんを招き入れて最初の買い物をさせるもの、初めて買ったデジタルカメラで最初の写真を撮るのに役立つもの、それが「Easy」なのです。そう、「Easy」こそがボールを転がすのです。
一度そうした勢いを得たら、あとはシンプルさと簡素化に焦点を当てることが大事されます。先入観、成功への障害、不要なものこれらすべてを取り除くことが絶対に不可欠になります。とはいえ初めに「Easy」な成功体験を得られなければ、スキルを獲得したり何かに熟達したりすることは決してないのではありませんか?
「Simple」は「Easy」の違いを理解しましょう。あなたがしていることのどのあたりに「Simple」と「Easy」があるのか考えてみましょう。最初は「Easy」で、後から「Simple」になっている、そうでしょう?
ソフトウェアエンジニアリングの文脈、特に Rich Hickey 先生のおかげで Clojure の文脈で見かけることが多い「Simple」と「Easy」の概念だが、この記事ではソフトウェアのことには一切触れていない。人生訓のような語り口が印象的だった。
特に納得したのは「Easy」の良いところを強調しているところだった。弾みを付ける「Easy」なもの(momentum builder)がなければ継続や熟達には届かない、たしかに。これは教育心理学の「人は学びたいから学ぶのではなく、学び始めたから学ぶ」のだという研究結果にも通じるものがあると思う。学び始めのランディングを手厚くすることで自走する状態に持っていくことができるという考え方だ。