「シックスセンス」で有名なM.ナイト・シャマラン監督の最新作「ヴィジット」を観た。 あまり映画館でホラー映画は観ない*1のだけど、これは最高だった。
あらすじ
15歳の少女レベッカと弟のタイラーは、母親が恋人とクルーズ旅行をする1週間の間、ペンシルバニア州メイソンビーにいる祖父母に家で過ごすことになった。祖父母の家には奇妙なルールがあり…。
良かった点
緻密な構成と伏線の回収を94分間で完璧に仕上げている。
日常からほんの少しずれたところを描くことで、"ありえないホラー"でなく"実際に起こりうる事件"に映る。怖い。後半のあるシーンで母親が告げた真実に背筋がヒュンッ…とした。
ホラー映画なのに笑えるシーンが多く、緊張と開放の繰り返しでジェットコースターのようだった。
テーマに多層性があり、単なるホラー映画ではない。その証拠に twitter で検索すると「怖かった」「笑えた」「泣けた」等々の様々な感想が見られる。どの分野でも作品に深みを与える、いわゆる名作の条件は重層性だと思う。
本当は長文書こうとしたけど、紹介記事や twitter の感想にこれだ!というものが多かったのでそれを貼るだけにする。
紹介記事
アナタはシャマランを勘違いしている!新作『ヴィジット』が100倍面白くなる観賞法 | FILMAGA(フィルマガ)
『ヴィジット』に仕組まれた重層的なトリック 奇才・シャマラン監督の試みを読む|Real Sound|リアルサウンド 映画部
予算
『ヴィジット』。150億の予算で映画撮った監督が、5億で映画撮ることになったら、ふてくされると思うんだよ。「ケータリングがしょぼい」とかいって。でもシャマランは頑張った。そして『ヴィジット』は『エアベンダー』の1/30しか予算ないのに、30倍以上おもしろいのだから映画はふしぎだ。
— 伊藤聡 (@campintheair) 2015, 10月 23
シャマラン史上最も低予算の「ヴィジット」が、シャマランの最高傑作と言っても過言では無いくらい面白いんだから、分からないもんだよなぁ。
— すずきひろし【離脱中】 (@bonkuratv) 2015, 10月 23
絶賛の声
『ヴィジット』を観る。ああああ!!そう!これ!これが見たかったのよシャマラン!数々の伏線とその回収された時の驚愕、POVならではの全てを見せない絶妙なアングル、爆発する恐怖、あのエピソードはこの為かというシーンに涙、終わり方も最高! pic.twitter.com/1QBugXQIBV
— ろろ・そぜ (@rorosoze) 2015, 10月 23
【再】シャマラン新作「ヴィジット」。ぶっちゃけ傑作です。シャマラニストは勿論、「シックスセンス」以来、初めて一般人にも勧められるシャマラン作品。何と今回は謎や伏線がそれなりに綺麗に回収されるのだ!https://t.co/YrbK1enfYn
— 長谷川町蔵 (@machizo3000) 2015, 10月 22
【再】「物語の整合性なんかより伝えたいことがある」これまでのそんなシャマラン師匠の想いを理解しようとしなかった全映画ファンは「ヴィジット」を観て反省して欲しい。やれば出来るんだよ!あと子役の演技指導やダイアローグのリアルさが天才的!
https://t.co/mPcMHwsfFe
— 長谷川町蔵 (@machizo3000) 2015, 10月 22
「ヴィジット」を一緒に観た大学時代の友人の1人が、この映画はカメラの前では誰もが演じてしまうというのがテーマだよね、と元映画研究会らしい事を言っていて、なるほど、と思ったのだけど、あの「万能薬(エリクサー)としての許し」、あれは一体何だったのか、というのが凄い不思議なんだよね。
— すずきひろし【離脱中】 (@bonkuratv) 2015, 10月 23
「ヴィジット」は「シックスセンス」と同様に、ネタバレ禁止の映画なのは確かなんだけど「シックスセンス」のようにネタバレのラストに向かって、丁寧に物語が進行してゆく、というんじゃ無くて、あくまで細部を楽しむ為にネタバレが用意されているので、ネタバレの内容それ自体は、大したことが無い。
— すずきひろし【離脱中】 (@bonkuratv) 2015, 10月 23
「マッドマックス」で婆さん大活躍映画に目覚めた人は、是非「ヴィジット」も観て欲しいなぁ。
— すずきひろし【離脱中】 (@bonkuratv) 2015, 10月 25
日常をずらすこと、ジャンルをずらすこと
M・ナイト・シャマラン『ヴィジット』。そして相変わらず、家族がテーマになっている。主人公の姉弟や母親だけでなく、おばあちゃんとおじいちゃんも実は、家族を希求しているという点が泣ける所で。じゃなければ物語りは一週間も続かない。オルタナティブな家族像の光と影を見ているようだった。
— out-1 (@out1film) 2015, 10月 25
シャマラン映画って、既存のジャンルをちょっとズラす事で、シャマラン独自の世界を構築しているんだけど「ヴィジット」は、ホラー映画をズラしている、とも言えるし、ファミリー映画をズラしている、とも言える位置関係にあるんだよなぁ。
— すずきひろし【離脱中】 (@bonkuratv) 2015, 10月 25
「シックスセンス」だけは例外で、ジャンル映画としての完成度がダントツだから、多くの人に支持されているけど、個人的にはシャマランっぽさが無くて、最初は全然好きじゃ無かった。シャマラン凄えっ!!ってなったのは「アンブレイカブル」から。あのサミュエル・l・ジャクソンは(笑)
— すずきひろし【離脱中】 (@bonkuratv) 2015, 10月 25
ただ、ジャンル映画なのに、王道をやるのでは無く、ちょっとズラす彼の作風というのは、人によっては、ただの下手糞、に見えてしまうから、シャマランの評価は分かれてしまうんだと思う。
— すずきひろし【離脱中】 (@bonkuratv) 2015, 10月 25
ジャンル映画、というのは観客が、そのジャンルで観たいと思うようなものを安心して提示するからこそ、意味があるんだけど、シャマランは、そこを敢えてズラす。宇宙人襲来モノかと思ったら、家族の喪失感の物語でした、みたいな。そういう肩透かし感を楽しめるかどうか。
— すずきひろし【離脱中】 (@bonkuratv) 2015, 10月 25
*1:公開数も少ない。